Cina 株式会社シーナ
「あきらめない介護」、「明るい老後」、「望まれる給食」で
高齢化社会をサポートする株式会社シーナです。
  • 2019.08.19
  • アーチって?

  • アーチ・デイサービス 高砂
  • アーチ・デイサービス高砂は、「アーチ(ARCH)Ability Recovery Care Home」の名前の由来の通り、機能回復を目的とした事業所です。

    要支援1から要介護5までの方が、日々トレーニングに励んでおられ、中には、要介護5から要介護1になられた方や「自立」となり卒業された方もおられます。しかしながら、「アーチは、比較的に元気な人が通うトレーニング型デイサービス」とのイメージを持っておられる方も多いのが現状です。

    どうすれば、重介護度の方にも適しているデイサービスであることを知っていただけるか?

    重介護度の方々にも、安心して選んで頂けるデイとなる為に試行錯誤をし、取り組んだ内容を紹介させて頂きたいと思います。まずは、居宅支援事業所へ伺う際に、再度、トレーニングによる機能回復により、自立した生活を目指しているデイサービスであることを、改めてお伝えしました。

    しかし、そこからケアマネジャーさまが想像するご利用者は、トレーニングに意欲的に取り組む方、トレーニングについていける体力のある方、等の比較的介護度の軽い方が多いことが分かりました。そこで、アーチでは、午前・午後・1日のコースがあり、一日を通してトレーニングを行っている為、体調にムラのある方や、入浴後は休みたいが時間を置けばトレーニングに参加できる方などにも、トレーニングに取り組みやすいという事を加えてお伝えしました。また、現在利用中で、移乗、移動が全介助の方も、リフトではなく、浴槽をまたいで温浴されている事等もお伝えしました。

    一日利用がしんどい方には、まずは、半日利用からでも外に出る機会づくりにとお話し、ケアマネジャーさまに見学に来て頂き、トレーニングも体験して頂きました。

    レッドコードやエアロバイクだけでなく、自宅にあるタオルやペットボトル、新聞紙を丸めてビニールテープを巻き付けた棒などを使っている為、負荷も変えやすく座位でのトレーニングが多く、取り組みやすいことを説明しました。

    そのような取り組みの結果、要介護5の方のご相談を頂く事が出来ました。

    退院直後のご相談で、体力の低下が著しく、半月ほどの利用期間になるかもしれない、再び誤嚥性肺炎で入院となる可能性が高いというお話でした。左半身不全麻痺があり、移乗、移動、全介助、入浴はシャワー浴、食事の形態もミキサー食でした。ですが、奥様は、お風呂が大好きだったご主人を、お風呂に浸からせてあげたいとのご希望がありました。

    その為、まず、職員間で立ちあがりに介助が必要な方の入浴方法の研修を行いました。

    お風呂のヘリに椅子をつけて、足を回し入れ、本人にどこで、どのように声掛けを行うか、職員で意見を出し合いながら練習を行いました。大柄な方を小柄な女性職員が介助することを想定し、背の高い職員を小柄な職員が介助する練習も行いました。

    その様子を、タブレットで撮影し、ご家族やケアマネジャーさまに安心して頂く為、お風呂の形態と共に見て頂きました。利用開始までに、自宅でのご様子も見せて頂く為に訪問し、ベッドから送迎車までの導線を、タブレットで撮影し、職員全員で共有しました。

    食事については、厨房に協力頂き、ミキサー食を一品ずつ容器に入れてもらい、温めて、お弁当箱に入れ直す事になりました。

    しっかり準備して迎えた利用開始の日。

    少し疲れた様子で、姿勢を保つ事がしんどそうに頭を下げておられましたが、それでも、お風呂に入りたいですか?と伺うと、しっかりとうなずかれ入りたいと意思表示されました。入浴したいとの気持ちがご本人の身体の動きを助けるように、両手で手すりを持って頂くように促すと、麻痺側の左手も動かして、しっかりと立ちあがられ、その様子を見て、浴槽からの立ちあがりも大丈夫だ!と感じました。

    その後も、日によって体調に波があり、立位保持も困難な時もありますが、補助の職員も入って殆ど温浴して頂く事が出来ています。温浴中の表情はとても満足されており、この為にデイに来られているのだなと感じますが、それも一つのリハビリとして、本人の残存機能を生かした介護を心がけています。

     一度お風呂に入られると、トレーニングの時も、お風呂の動きとトレーニング内容を連動しやすく、手すり運動の立ちあがりや、棒運動で棒をまたぐ足の動きなども、ご本人に具体的になぜその動きが必要なのか説明して取り組んで頂く事が出来ました。全ての運動に参加できておられるわけではありませんが、目的を持ってトレーニングに取り組んで頂けるよう関わっています。

     もうひとつ、お食事に関して、ミキサー状の食事を、他の皆さんと同じお弁当箱に入れて提供していましたが、ご本人がスプーンで食べられる際に、仕切りを越えて混ざってしまいまた、平たい箱からはすくいにくい様子なので、一品ずつ小鉢に入れて食べてもらうよう変更しました。見た目では何のお数なのか分からないミキサー食でも小鉢に入れて、置く場所を整え説明することで、きちんと食事を楽しんで頂くよう工夫をしています。

     

    半月でまた病院に戻ってしまうかもしれないと言われていた利用再開前に比べ少しずつ回復されています。アーチの職員にも慣れて頂いたようで、最近では、自宅で奥様に言われるように職員に「アメちゃんおくれ」と言われるようになりました。

    毎日の点滴はまだ続いており、体調の変化に注意しなければいけない状態は変わりありませんが、お風呂に入りたいという楽しみを持ち続けて頂きアーチで少しでも色んなトレーニングに参加して頂けるよう、関わっていきたいと思います。

    今回の事例を通して、職員全員が介護技術の向上を意識し、お互いに練習し合ったり意見を出し合ったり、他の職員がしている介助方法を観察したりとよい経験が出来ました。

    同じアーチの職員ですが、介護職の経験年数は皆バラバラで、持っている知識も技術も人それぞれです。ですが、それを強みとして、皆の知識と技術を持ち寄り、介護力の底上げを続けると共に、一つ一つの事例を整理し、どの方にも安心してご利用いただけるトレーニングや関わりを知ってもらい、多くの方々の利用に繋げていけるよう取り組んでいきます。

     皆さん、お近くのアーチに是非足をお運びください‼