Cina 株式会社シーナ
「あきらめない介護」、「明るい老後」、「望まれる給食」で
高齢化社会をサポートする株式会社シーナです。
  • 2019.10.01
  • 「愛は勝つ」

  • アーチ・デイサービス 新神戸
  • 2018年3月より利用開始されました。現在は火曜・金曜の週二回半日利用されており、利用状況は良好です。

    昭和18年10月30日生まれの76歳。要介護度は3。

     約1年半前の体験時の情報として、以前から脳梗塞・脳出血を繰り返しており、その後遺症にて右顔面麻痺・高次脳機能障害・右足失効が確認されていました。罹患前はジムに通われていたこともあり、運動に対して前向きな考えを持たれていたことから、体験後直ぐ利用開始となりました。更に、前情報として「リハビリを頑張って早く元気になりたい!」と強く思っていて、利用開始までの導入はとてもスムーズでした。

    しかし、前述通り、運動に対する前向きな姿勢がみられる反面、利用開始から約一ヶ月が経過した頃から昼食後は休憩する時間が増えていきました。更に、一ヶ月・二ヶ月が経過していく中で、午後からの運動には殆ど参加されず、レッドコード運動のみ好んで参加されるという状態となりました。そして、その頃には周囲のご利用者から「あの人は昼からいつも寝てるな…」と指摘を受ける等、ご利用者間の関係性も良好なものとは言えませんでした。 

    その当時について、本人からお話を伺うことができました。単刀直入に「昼間になると眠くなる…」と話しがあり、それは自宅での過ごし方が大いに影響していたと教えてくれました。自宅では、殆どの時間を寝て過ごしていたとのことであり、家事等は全て奥様に任せきりの状態が何年も続いていたと話を聴かせてくれました。その生活の中で、自身が自宅で過ごしていたようにデイサービスでも過ごすようになっていったとも話しがあり、運動しなければいけないという思いはあったものの、なかなか体がついてこなかったという実情を語ってもらうことができました。 

    利用開始から4ヶ月ほど経過しても、午前中は全項目に参加→午後からは殆ど休憩。というリズムに変化はみられませんでした。その間、なんとか一つでも多くの運動に参加してもらおうと、職員から様々なアプローチを試みましたが、結果としてほぼ変化はみられませんでした… 

    そんな際、その後の劇的な変化につながる事柄が起こります。

    それは、最愛の奥様が体調を崩してしまい、入院する運びとなってしまいました。突然のことで気持ちの整理がつかない状況の中でも、奥様の入院日に合わせ、生活環境が変化していきます。前述通り、家事は全て奥様が担当されていたこともあり、奥様が不在時に今まで通りの生活を継続していくことが難しいと判断されてしまいます。その為、奥様が退院されるまでの間はショートステイを利用されることとなりました。当時のことを振り返ってもらうと「不安でしょうがなかった…」と率直な感想を聴かせてくれました。しかし、不安という気持ちと同時に「妻の為にできることはあるはず!」という前向きな考えも生まれていたとも話しがあり、この頃からu様の中で大きな変化が起こっていたことが窺えます。更に、「アーチに来てなかったら、ここまで良くなってないと思う。」という言葉が示すように、アーチ・デイサービスの存在も変化に繋がる大きなきっかけとなっていました。 

    そして、約一ヶ月のショート利用から復帰後は更に運動への意欲が高まり、この頃から全6項目の運動全てに参加されるようになりました。更に、他のご利用者との交流も盛んになり、デイサービス到着後は自ら声を掛けて回り、中には毎回固い握手を交わされるご利用者もおられます。そういった変化の中で、少しずつ表情も和らぎ、終始肩の力が抜け、リラックスした状態で過ごされていることも休憩時間が減少したことに繋がっているのではないかと考えます。

    現在では、脳梗塞の後遺症から右足に痺れが残っている状態であるにもかかわらず、一本杖の使用を取り止め、室内外問わず独歩で移動されるようになりました。杖の使用を取り止めるきっかけとして、約2カ月前の担当者会議の中で奥様から「杖は使わない方がいいのではないか?」という一つの提案でした。その際、近日の状態を総合的に判断し、杖の使用を取り止めることが更なる機能改善に繋がるのではないかという意見をお伝えしました。そして、最終的には本人が決断を下し、翌日から杖なしでの生活が始まりました。現在では、杖なしの歩行状態はとても安定していて、デイサービス利用日以外は頻回に散歩等、外出することができているそうです。

    今回の事例を通して、改めてアーチ・デイサービスの在り方を再確認させていただいたように感じています。アーチは元来、機能訓練に特化したデイサービス、身体機能を回復・取り戻すことを主たる目的としてスタートしました。しかし、月日が流れる内に、その一番大事な根源の部分が揺らいでしまい「今自分たちがやっていることは本当に正しいのだろうか?」と疑心暗鬼に陥ってしまいたのではないかと考えます。

    しかし、今回のu様の事例はアーチにとって全く特別なことではなく、どの事業所でも日々起こっている事象のほんの一例です。その一つ一つの事例をコツコツと積み上げてきたことに対して、もっと自信を持ち、そして誇りを持ってご利用者に接していけば必ず想いは伝わり、結果として表れるはずです! 

    少し話がずれてしまいましたが、u様に新たな目標を設定してもらいました。それは「デイサービス卒業です。」卒業後の生活環境を整える必要がある等、課題は山積みですが、卒業という前例を作っていくことがアーチ・デイサービスの更なる発展に繋がると信じ、一歩ずつ着実に目標に向かって共に進んでいければと考えます。 

    最後になりますが、奥様から「なんでもやるようになった。」と、奥様もご主人の変化に驚いているという話を聴かせてくれています。奥様の体調も日に日に回復しており、現在では退院前よりも元気な姿をみせてもらえています。