Cina 株式会社シーナ
「あきらめない介護」、「明るい老後」、「望まれる給食」で
高齢化社会をサポートする株式会社シーナです。
  • 2020.01.07
  • 生活を取り戻す

  • アーチ・デイサービス 加古川西
  • 加古川西では、ご利用者満足度を上げるために、ご利用者にアンケート調査を行いました。

    アンケートの内容は

    ・日常生活で困っていることは何ですか?

    ・アーチにきてご自身がこうなりたいという目標は何ですか?

    まず、日常生活で困っていることは「特にない」という答えが多くありました。一例としてこんなことがありました。タオル体操のとき全く行おうとされないご利用者がいました。この方は入浴を他のデイサービスで全介助されており、洗えるところも洗わないそうです。出来ないことは「周りの人がすべてやってくれるから」という意識が強いためか、こんな体操は自分には必要ないとの考えで拒否されていました。

    他のご利用者でも「やってもらえる」意識は強く、改めて「困っていることは何ですか?」と尋ねると「特にない」と答えられる方が多い印象をうけました。これは不自由なりに周りに助けられながら、長期間それなりの生活は成り立っているためだと思われます。では「今までご自分で出来ていたことで、出来なくなってしまったことは何ですか?」と質問を変えて尋ねてみました。すると

    ・くつが自分で履けないから履けるようになりたい

    ・痛みで足が出にくく、スムーズに歩けないから歩けるようになりたい

    ・庭仕事をもう一度したい

    ・散歩がしたい

    ・自分の事は自分でしたいとたくさんの「したい事」が出てきました。

    ご利用者の「できないことがあたりまえだ」という「半分あきらめ」の思いを、なんとかもう一度「自分でやれる!」という自信を持っていただけるような環境を、私達スタッフはトレーニングを通して提供して行くべきではないかと考えさせられました。ご利用者のたくさんの「したい事」はすべてご自身の足で歩くことへとつながっています。

    そこで加古川西では「楽しく、歩行訓練を行う」ためにどうすればよいかを考えました。まず、マンネリ化している手すり運動では、歩くための体幹の筋力作りとして、一つ一つの動きがどの動きに繋がっているのかを深く掘り下げ、ご利用者にもわかりやすく説明できるようにスタッフ間で共有しました。さらに歩行持久力をつけるために20分間立ち続けることを目標に、立位保持時間を延ばすためのプログラムを見直しました。

    また、加古川西には屋外で歩行訓練ができる中庭があるにも関わらず、長らく放置されていました。庭は荒れ果て、ご利用者も庭に興味をもつこともなく、歩行訓練が行える状況ではありませんでした。そこで、庭の大改造を行いました。半分は庭石を新たに敷き、花を植えてガーデンに、もう半分は畑で収穫できる菜園を整えました。花が咲き、野菜が育ち、ご利用者にも季節の移り変わりを感じていただけるような素敵なアーチガーデンが出来ました。この夏はトマトやオクラ、しそやピーマンの収穫もご利用者と一緒に行うことができました。フロアでの歩行訓練もすすんだ頃、冬の寒い時期や夏の暑い時期をのぞいて庭での歩行訓練もできるようになりました。

    ここで、歩行訓練の内容を説明します。

    まず、フロアでの歩行訓練では、いすの背もたれを外側にして円に並べ、その外周を歩きます。1周約20mでご利用者に何周歩くか目標を決めていただきます。普段、杖や歩行器を使用しているご利用者には補助具を使わずスタッフの介助歩行で歩くこともチャレンジしていただきます。円では歩くことが難しいご利用者には個別でスタッフが関わり、手すりを使って直線を歩いていただきます。スタッフは歩く姿勢・歩く速度・すり足になっていないかなど個々に声をかけます。

    次に、庭での歩行訓練では、1周約30mの人工芝を歩いていただきます。フロアとは違い、外の日差しや風・自然を感じながら歩きます。気温の変化、外に出るまでの段差、人工芝の感触などフロアとは違う感覚を体感していただきます。ハーブの匂いをかいだり、しゃがんで草むしりをしたり、アーチでうまれたメダカをのぞいたり、きれいな花を愛でたり、野菜の成長を楽しみに外に出られるようになりました。また、外に出られずフロアで頑張っているご利用者から「いつか私も外にでたい!!」という声も聞かれるようになりました。当初は歩いてすぐに息が切れ「しんどい」と座ってしまわれる方もいらっしゃいました。しかし今では、歩くだけで精一杯だったご利用者が時に笑顔で話されながら歩くことが出来る様になりました。訓練の回数を重ねる度に目標回数も増え、歩く距離がのびていきました。歩ききった後のご利用者は疲れもさることながら達成感にあふれ、いい笑顔が見られるようになりました。

    そしてアーチ加古川西では、ご利用者の「歩きたい!!」の先に大きな目標が出来ました。それは、アーチから約200m先の喫茶店へ歩いて行き、お茶を飲んでから歩いてアーチへ帰ってくることです。さらにご利用者に「自らできる!!」を目標に新たな取り組みも開始しています。それは日常生活動作に準ずるトレーニングです。

    洗濯物が自分でたためるように、ぞうきん絞りができるように、入浴時、自分で足の指を洗えるように、ズボンやパンツを自分で着脱衣できるように、タオルトレーニングを強化しました。このトレーニングを始めたところ、皆様、興味をもって楽しく取り組まれています。

    そして、入浴動作が以前よりスムーズになっているという効果も少しずつ見られるようになりました。

    また、小さな段差でのつまずきや転倒を防ぐための段差のりこえトレーニングを個別に始めていく予定です。一生懸命取り組まれるご利用者と共に時を過ごし、生活を取り戻そうとする姿に私達スタッフの意識も高まってきました。それを現実のものにする為に私達はより一層邁進していきます!!