- 2018.07.27
微笑みの、その先に…
- 介護事業部
最期まで住み慣れた場所で過ごすことを望まれた、ご利用者との想い出の日々を振り返ります。
【ご利用者のご紹介】
昭和2年2月20日生まれ(享年91歳)
ご入居:平成25年6月1日
ご病気:狭心症・不安神経症・アルツハイマー型認知症
【ご利用者との想い出】
とてもお話し好きなご利用者との出逢いは4年4ヵ月前で、深く関わりを持つようになったのは、それから約1年後のことでした。
翔月庵にご入居される前は、ご主人と2人暮らしで、若い頃から洋裁学校の校長をされており、趣味も多種多彩で、華道・日本舞踊の名取でもありました。
ご主人との馴れ初めや、お仕事・趣味の話をされる時は、目をキラキラさせながらお話しされていた姿がとても印象的でした。
ご主人と死別後、しばらく自宅で一人暮らしをされていましたが、認知症の発症(もの忘れ)をきっかけに翔月庵にご入居されました。
入居後2年が経つ頃には、持病の悪化と認知症の進行により、お一人で日常生活を送ることも困難な状況でした。
その頃には、歩行も不安定な状態で、大好きだった外出もできなくなっており、在宅医療(往診)への切り替えも必要となっていました。また、うつ症状・被害妄想や興奮といった症状がでる日も多くなっていました。
お亡くなりになられる1年程前には、精神状態が不安定な日々が続いたため、入院治療を余儀なくされたことや、当住宅での生活の継続が困難で他施設への転居を考えたこともありました。
しかし、ご本人から「私には子供がいないし、今みてもらっている人に迷惑はかけたくないから、ここ(翔月庵)で死にたい」という想いを何度も聞いていたため、その想いを叶える体制を、ご家族のご理解とご協力のもと、私たち看護職員だけでなく、相談員・介護職員・外部の各種関係機関との連携を図り整えていきました。
医療機関の調整では、循環器内科・精神科で在宅診療が整っている病院や薬局、訪問で口腔ケアやベッド上でのリハビリを継続的に受けることができる事業所を探し、調整を行いました。 晩年は、車椅子の生活でほぼ寝たきりの状態となり、おしゃべりすることも少なくなりましたが、毎日穏やかに過ごされました。
大好きなお花を見て微笑む姿や、職員の声掛けにニコニコと答えられる姿は、とても愛らしく思える時間でした。
また、お別れの日が近づくにつれ、お食事をされること・お話しをされること・歌を歌われること・目を開けることも殆どなくなっていました。そのような状態になってからは、お声を聞くこともできませんでしたが、平成30年6月25日、職員の見守る中、安らかに旅立たれました。最期の瞬間は、心なしか微笑んでおられるようなお顔にも見え、ご利用者と一緒に過ごした日々がとても尊く感じられた時間でもありました。思い返すと、ご利用者とは真剣に向かい合う結果、とことん話し合ったり・笑いあったり・泣きあったり・怒りあったりと、様々な場面での関わりが深く、心に残ることばかりです。
職員一同、ご冥福をお祈りすると共に、ご利用者と過ごせた日々に感謝いたします。 翔月庵は、これからも安心できる生活の場であり続けること・地域の方お一人お一人の健康や生活のお手伝いができる施設作りを目指し、想いに寄り添うケアを実践していきます。