- 2017.10.01
あきらめない!二人三脚で山登り!
- 介護事業部
アーチデイサービス高砂での事例をご紹介いたします。
<プロフィール>
昭和22年1月1日生まれ 71歳 女性
既往歴は、うつ病・レビー小体型認知症・肺疾患・糖尿病で、
家族構成は、ご主人・娘様・姑様との4人暮らしです。
若い頃はとても手先が器用だったとの事で、洋裁の指導員の免許も持っておられます。
夫婦仲がとても良く、平成26年6月まではご夫婦で毎日のように山登りを楽しんでおられたそうです。
<アーチを利用された経緯について>
平成26年6月頃より急激に痩せはじめ、40kgあった体重は31kgまで減少し、物忘れも出現しました。精神科にて検査を受けられましたが、「認知症」ではなく、「うつ病」との診断にて向精神薬服用開始となりました。のちに、「レビー小体型認知症」との診断が下り、平成27年2月、ご主人が地域包括支援センターに相談されました。
そして、週3回のデイケア利用開始となりましたが、徐々にうつ症状が出る頻度が多くなり、リハビリ予定時間に症状が出るとリハビリが実施出来ない日が増え、尖足も出現し始めました。今まで出来ていた室内・短距離の移動もスムーズに行えなくなり、手足の拘縮予防と歩行訓練の目的で、週1回の訪問看護の利用を開始されました。時を同じくして食事の摂取もスムーズに出来なくなり、口腔リハビリ目的で訪問歯科診療も開始されました。
ご主人は、奥さまに何とか元気になってもらいたいと、献身的に介護し、様々なサービスも利用しておられましたが、大きな改善は見られず、ご本人にもっと合ったリハビリは出来ないかと、日々悩んでおられました。
そんな折、ケアマネジャーより、「常駐するPTは居ないが、職員の関わりが多く、その人その人に合ったトレーニングが出来るデイサービスがある。」と、アーチの事を聞いて下さり、事前訪問・体験を経て、アーチご利用を決断して下さいました。アーチ利用開始後の様子。
① トレーニング
アーチでのトレーニングは、集団で行うメニューが多く、不安が「うつ症状」を誘発する可能性があるのでは・・・と、心配もありましたが、しっかりと顔をあげ、職員の説明を熱心に聞きながら、みなさんと一緒に前向きにトレーニングに取り組む姿が見られました。
現在も頻回にうつ症状は出現しますが、症状が強い日でも、一日中トレーニングを実施しているので、症状の落ち着いている時間を選びトレーニングに参加して頂く事が出来ています。また、20分間継続してトレーニングが実施出来ない時でも、フロア内の両手引き歩行や、ベッド上でのトレーニング等、短時間での個別のトレーニングを実施して頂いています。
② 口腔リハビリ
アーチ高砂では、食事前に全員で口腔体操を実施しており、頬や首の筋肉をもみほぐし唾液腺を刺激した後、頬や舌を順番に動かし、「ぱ・た・か・ら」や早口言葉で発声をします。また、食事開始前には、お茶等の水分で、口腔内・のどを潤す声掛けも行っています。
ここまでは、実施されているデイサービスが多いですが、アーチには更に効果を上げる口腔リハビリが有ります。トレーニング中に有酸素運動の目的で実施して頂いている、「1・2・3・・・」という、大きな声での掛け声です。
体が動かしづらい時でも、声はしっかり出して頂けるよう、お伝えしています。その成果でしょう!うつ症状が強くベッドで臥床されている時でも、トレーニングの掛け声に合わせて、「1・2・3・・・」と掛け声をして下さっており、その刺激により自然と覚醒される事も多くなっています。
③ 入浴サービス
機械浴がないので「シャワー浴で結構です。」と伺っていましたが、なんとかお湯に浸かって頂きたいという思いから、入浴動作に繋がる、室内歩行訓練や室外の階段で昇降運動を開始しました。
はじめは、ご本人の恐怖心もあり2人での介助を要しましたが、徐々に慣れ一人介助でも安定した動作が可能となりました。そして、ついに湯船に入るチャレンジの日、立位での移動に少し恐怖心があるようでしたが、安心・安全の為に2人の職員が付き添わせて頂き、手や足を置く場所を細やかにお伝えする事で、浴槽をまたいで入浴して頂く事が出来ました。ご自分の力で浴槽をまたぎ、湯船に浸かった瞬間、「気持ちが良いわ。」と嬉しそうに声を漏らしておられました。ご本人の夢は、お元気だった頃のように、ご主人と一緒にスーパーマーケット出かける事です。
登山が大好きで、毎日のように一緒に山登りをされていたご夫妻。
奥さまのご病気という大きな山も一緒に乗り越えようと、前向きかつ献身的に向き合うご主人の姿には、職員全員、頭の下がる思いです。奥さまの「元気になりたい!」という願いと、ご主人の「元気になって欲しい!」という願い。私たちは、これからも、お二人の願いを叶えられるよう、出来る限りのお手伝いをさせて頂きます。