- 2016.10.01
奇跡
- 介護事業部
平成27年2月21日、ベッドから立ち上がろうとした際に転倒、左足のつけね部分を骨折されました。医師の診断で、手術せずに治療することになり、ご自宅でほぼ寝たきりの状態で過ごされていました。そんな中で、一度は諦めていた自分の足で歩きたいという気持ちが強くなり、そうした意向を受けた担当ケアマネジャーからアーチ・デイサービス大開をご紹介され、平成27年4月9日から週2回のご利用となりました。
昭和5年生まれ(85歳) 要介護4、女性、15年前、脳梗塞を発症し、左片麻痺と言語障害の後遺症が有り自力で起き上がることが困難な状態でした。他の既往歴は、高血圧・うつ病・骨粗しょう症・左肩関節周囲炎があり、当時、訪問介護と通所介護を利用されていました。
ご利用開始当初は、ベッドからの起き上がり・車椅子への移乗及び移動・排泄は全介助。食事のみスプーンを右手で持ち、なんとか自力で摂取できる状態でした。
利用開始当初より、理学療法士による個別リハビリを実施しました。ベッドでの全身のマッサージで収縮した筋肉を緩和し、ストレッチで関節可動域の曲げ伸ばしの改善を図った後、下肢・体幹の筋力トレーニングを実施しました。
もう一度歩きたい!という希望を持って、アーチを選ばれましたが、当初は全体体操も周りの動きについていく事ができず、入浴も浴槽をまたぐことが困難なため、シャワー浴を提供していました。また、食事に関しては右手握力低下が顕著で、箸をうまく使うことが出来ないことも有り、摂取量はおおむね2~3割程度でした。
では、その後、約5か月の期間を経て、どのように変化されたかをご紹介いたします。
まず送迎ですが、全介助だった車の乗り降りが職員の軽介助及び見守りのもとでほぼ自力で行えるようになりました。
その後、地道なトレーニングを継続され、6月より歩行訓練を開始。当初は、動かせる右手で手すりを掴んで頂き、麻痺している左腕を職員が支えて歩いて頂きました。やがて歩行能力の回復にともなって、手すりを離れて、右腕を職員が支持しただけの状態で歩けるようになられました。
8月に入り、歩行能力の回復状況から判断し、四点杖歩行訓練へと更に改善し、9月になると見守りでの独歩が可能になられました。
今回、アーチ利用開始から現在に至る変化の大きさは、内容や、わずか5か月という期間の短さからも「奇跡」と呼べるものではないかと思われます。
あらためて、当ご利用者の5か月間を冷静に振り返った上で、前述で「奇跡」という表現を致しましたが、本当にそうなのでしょうか?実はもともと現在の状態に至ることが出来るだけの潜在能力を秘めておられたと考えることは出来ないでしょうか?もしかすると、その隠れた能力を引き出せる機会に恵まれなかっただけかもしれません。
我々職員は大きな疑問を抱きました。
現在、ご利用中の方々にも、潜在能力を秘めている方がいらっしゃるのではないか? もしかしたら私たちが、気付かずに見落としてしまってはいないだろうか?と。
現在、ご利用中の方々や、これから利用して頂くご利用者の方々に対し「本当に今が限界なのか?」「もっと良くなる可能性は無いのだろうか?」
という想いを持ち続けることで、新たな「奇跡」を生み、第2、第3の「奇跡」を生み出すことに繋がっていければと考えます。